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香住・奇岩の宝庫と最後の海戦

兵庫県北部、日本海に面した香住町。冬はカニ、夏は海水浴と、かつては季節ごとににぎわいを見せていた町ですが、近年の夏はかつてのような喧騒も少し落ち着いた印象です。それでも、香住の海は今なお美しく、変わらぬ魅力を湛えています。

学生時代、バイト終わりにそのまま車を走らせ、夜のうちに香住へ。駐車場で仮眠を取り、朝から夕方まで砂浜で遊んでは、夕方には2〜3時間かけて神戸へ戻る――今ではなかなかできない無茶も、夏の思い出の一つです。

そんな香住の海には、今も静かに沈んだままの記憶があります。1945年8月14日、ポツダム宣言を受託したその日、香住沖にて旧日本軍の軍艦二隻が米軍潜水艦「トースク」によって沈められました。翌15日の終戦を前にした、まさに太平洋戦争最後の海戦「香住沖海戦」。それは日本近海で最後に戦没した艦でもあります。

リアス式海岸に点在する奇岩たち――「かえる岩」「鎧の袖」など、名の付けられた自然の造形美は、今も変わらず訪れる人々を迎えています。彼らもまた、あの日の光景を静かに見つめていたのでしょう。

歴史と自然が交差する香住の海。今年の夏は、そんな深い物語に触れに訪れてみてはいかがでしょうか。



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